外国人労働者の雇用に係る労務・税務について

外国人労働者を雇用する際は以下の点に留意してください。

【基礎知識】

  • 外国人労働者を雇い入れる際は、日本で働く資格「在留資格の種類」や日本での滞在期間「在留期間」を確認する。
  • 在留資格の種類によって就労できる職種・業種や就労時間が制限されている。
  • 「在留カード」か「パスポート(旅券)」で在留資格を確認し、必要に応じて「資格外活動許可書」も確認する。
  • 在留カード等で在留資格の種類以外に、氏名、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域、資格外活動許可または報酬活動許可の有無、在留カード番号を確認する。
  • 日本国内の活動に制限がなく、どんな職業でも就労できる在留資格は「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者」「定住者」。
  • 就労はできるが職種・業種等に制限がある在留資格は「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職1号・2号」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能1号・2号」「技能実習」、一部の「特定活動」。
  • 原則として就労が認められないが、資格外活動許可があれば就労できる在留資格は「短期滞在」「留学」「家族滞在」、一部の「特定活動」。資格外活動許可があれば1週28時間以内に限り就労が認められる。
  • 就労が認められない在留資格は「文化活動」「研修」。
  • 日本国内に住所(生活の本拠)がある、または実際に1年以上日本で居住している、または継続1年以上の日本での居住が必要な雇用契約等がある(入国日の翌日から起算して1年を経過する日を超えて国内に居住する)なら「居住者」に該当し、それら以外なら「非居住者」に該当する。

【労務】

  • 労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金の加入要件・手続きは日本人と同じ。違う点は本人確認書類と届出書類の記載項目に在留資格等が追加。
  • 雇用保険の被保険者にならない場合は「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況届出書(様式3号)」を雇入れ日・離職した日のそれぞれ翌月の末日までに、ハローワークへ提出する。インターネット上(外国人雇用状況届出システム)で登録も可能。ただし、在日朝鮮人等の特別永住者・在留資格「外交」「公用」の場合は提出不要。
  • ワーキングホリデーや留学生(昼間学生・インターンシップ)は雇用保険の適用外。

【税務】

  • 日本での滞在期間(居住者か非居住者か)によって対応が変わるため、在留カード等で在留期間等を確認する。
  • 居住者には通常の日本人と同様に源泉徴収と年末調整をする。
  • 非居住者には税率20.42%で源泉徴収する。給与所得の源泉徴収税額表の「甲欄」「乙欄」「丙欄」等は使わず、支給額に一律20.42%の税率を乗じた額を預かる。
  • 非居住者には年末調整しない。
  • 非居住者の源泉徴収税の納付手続きについては、納期の特例の届出をしていれば半年に1回のタイミングで良いが、納付書は他の従業員(居住者)とは別に「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(納付書)」を使用する。コード欄は31、納期等の区分欄は支給の最終月(6月・12月など)、人員・支払額・税額はそれぞれ延べ人員・合計額を記載する。
  • 非居住者が中国からの留学生・事業修習者・研修生等の場合、非居住者が「租税条約に関する届出書」を事業主経由で税務署に提出することで源泉所得税が免税になる。初回の給与支払いまでに届出書を提出しなかった場合は、後日、届出書と「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」を提出することで免税された際の金額との差額を還付請求できる。タイ、インドネシアから来日した方も免税になる場合があるが、滞在期間や収入金額に制限が設けられている。
  • 居住者の年末調整等の際に、国外居住親族(非居住者である親族)の合計所得金額が48万円以下で、16歳以上30歳未満か、70歳以上か、30歳以上70歳未満のうち留学が理由で非居住者になったか・障害者か・生活費や教育費に38万円以上仕送りをしている場合には扶養控除等の対象になる。
  • 国外居住親族を扶養控除に適用する場合、親族関係書類(外国の国・地方公共団体が発行した当該親族の出生証明書や婚姻証明書等:氏名・生年月日・住所が分かる書類)と送金関係書類(送金実績と金額を証明する書類)、場合により38万円送金書類や留学ビザ等書類と、それらの翻訳文が必要。
  • 居住者が年の中途で退職・帰国する場合(非居住者になる場合)、年の中途(最後の給与支給時)に年末調整をする。

詳細は厚生労働者、日本年金機構、国税庁等のホームページやお近くのハローワーク、税務署等にご確認ください。

■参考

厚生労働省HP
外国人の雇用
外国人雇用状況の届出について
外国人雇用状況届出システム
ハローワーク飯山(飯山公共職業安定所) 電話0269-62-8609

日本年金機構HP
外国人従業員を雇用したときの手続き
外国人のみなさまへ 国民年金のご案内
長野南年金事務所 電話026-227-1284
長野北年金事務所 電話026-244-4100

国税庁HP
日本における給与に係る源泉徴収制度の概要
No.2875 居住者と非居住者の区分
別紙 住所の推定
No.2012 居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合)
No.2665 年末調整の対象となる人
No.2873 非居住者等に対する課税のしくみ(平成29年分以降)
No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)
No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率
納付書の記載のしかた(非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書)
学生のアルバイト代
No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)
国外居住親族に係る扶養控除等の適用について
信濃中野税務署 電話0269-22-3151